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2018-01-01

『合格水準 教職のための憲法』(法律文化社)を刊行

出版 『合格水準 教職のための憲法』(法律文化社)を刊行しました。

「はしがき」より抜粋

この本は、教職を志望している学生のために、そして現在教職にある方々のために作った憲法の本です。まずは憲法の「骨」の部分に光を当てて憲法のもっとも基礎的なエッセンスを理解していただくことに徹しましたが、次に、内容を肉付けする具体的な事例を選ぶにあたって、学校現場にかかわる人権判例や、マイノリティへの配慮など、教育者に必要な人権感覚にかかわる具体例を選びました。現在の教員の方々の確認ハンドブックになるような憲法の本を作れば、それが同時に将来教員になろうとする方々にとって意味のある憲法学習テキストとなると考えました。

各章の末尾には、これから教員採用試験を受けようと考えている方々のために、「教員採用試験エクササイズ」を載せました。

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教員になろうとする人々がなぜ、教育の最終ラウンドで憲法を学ぶのでしょうか。形式的には、公立学校の教員は直接に憲法尊重擁護義務を負うし、私立学校の教員も教育の公共性から教育基本法などの教育法規の規制を受け、それらの法規は憲法の内容を受けて定められているから、総じて憲法は最高法規だから、ということになります。しかし、さらにその理由を掘り下げれば、憲法は「人間が人間らしく生きる条件」を「人権」として定めた法規であり、国家の活動の目的をその人権保障のためのものと定めた法規であり、教育制度もこの思考に沿って実現してきたものだからです。教員は、「教育を受ける権利」をはじめ、さまざまな人権の思考を次の世代の人々に伝える重要な役割を果たします。本書は、そうした基本的な人権センスを身につけてもらうことを第一の願いとして編纂されました。

また、本書では、学校現場で必要となる知的財産権(とくに著作権)の知識についても1章を充てて解説しています。

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 本書の編纂にあたっては、多くの方の協力を得ました。まず、魅力的なコラムや章で編者の知識不足を補ってくださった共著者の先生方に深く感謝します。また本書では、各章の扉に美術大学の学生の作品を掲載しました。そして、憲法問題に深い理解をもつ表現者として、写真家・豊田直巳氏にもご協力をいただきました。本書のこのような美術的・視覚的な工夫の部分は、平成29年度武蔵野美術大学教育改革助成「美術教育の一環としての法学教育の改善」の成果です。

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 必要な学修を完成させて教職に就くためには、並大抵ではない努力が必要だと思います。自分の決めた目的のために、ときには孤独な「出る杭」になることもあるでしょう。そうかと思えば、努力が実って次のスタートラインに乗った途端に、自分が平凡な群衆の一人に戻ってしまった不安を感じるかもしれません。出る杭になることを恐れないこと、同時に、少しも天才ではなかった自分に苛立たず歩み続けること。その繰り返しの中で、自分にしかない《かけがいのない人生》を作り上げていくこと。その基礎を身に着けるのが学生の時代です。そのための手助けをするのが教員です。そんなメッセージをこめて、本書のはしがきとさせていただきます。

編者・志田陽子

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