Yahooニュースに漫画島耕作問題について論説を4本公開
不適切表現において修復すべきものと塞ぐべきでないもの――漫画「島耕作」問題の教訓をどこに見るか
テーマ塞ぎ、ではなく
筆者のここしばらくの投稿論説について、「具体的な事件や人を連想させ、関係者のイメージを低下させる作品は多数発表されているが、なぜこの作品だけに固執するのか」というご意見を頂戴した。これに応える意味も含めて、この件の教訓が《テーマ塞ぎ》の方向に行かないように、説明を補いたい。
筆者は以前、漫画で日本国憲法の基本を解説する本の解説文を執筆するさいに、企画会議に出席させてもらったことがある。そこで憲法17条の「国家賠償」について理解してもらうための事例として、2001年の「ハンセン病国賠訴訟判決」を取り上げたらどうかと提案したが、出版社側から「それは絵に描くと必ず問題になるので漫画家に依頼できない」と言われ、諦めたことがある。これはもう30年も前の話で、これが映画『あん』が上映され高い評価を受けた後のことだったら、話は違っていたかもしれない。
今回のような不適切問題は、たしかに公表前に社内でチェックが機能することが必要ではあるのだが、このチェックがそうした《テーマ塞ぎ》の方向に向かってほしくない。一度こうしたアウト事例が出てしまったからといって、出版社や作家が問題を《辺野古基地問題》、《金銭授受のあるステルス表現問題》といったテーマで括って「そのテーマは扱えない」という禁忌にしてしまうと、今度は「表現の自由」に萎縮が生じ、それこそ社会全体の機会損失となってしまう。…
「島耕作」における「日当アルバイト」発言を、民主主義のプロセスから考える
2024-10-28 by
関連記事