朝日新聞デジタルに、憲法記念日インタビュー掲載

朝日新聞デジタル 2020 0503 記事冒頭スクショ

5月3日 朝日新聞デジタル版に、憲法記念日に向けたインタビューを掲載していただきました。
「強まる自粛ムードに異議 憲法学者が勧める批判的思考」

上の記事のダイジェスト版「コロナと私たち、きょう憲法記念日」

■おかしいと思えば、声上げていい 武蔵野美術大・志田陽子教授

新型コロナウイルスの感染を防ぐため、外出や営業の「自粛」ムードが強まっている。だが、何が良くて何がダメなのか基準がはっきりしないため、行き過ぎた萎縮や圧力が生まれている。一斉休校中に子どもを公園に連れて行っただけで警察に通報する人がいる。強制ではなく要請なのに、東京では警察が新宿・歌舞伎町などで巡回を始めた。警棒を手にした「お願い」は威嚇であり、強制と受け止める人が多いだろう。
確かに、経済活動や集会の自由といった大切な人権も、「公共の福祉」のためにやむを得ず制約を受けることがあるというのが憲法の規定だ。ただ、感染拡大を防ぐために求められるのは、密集を避けて不要な外出を減らすことだ。必要な外出や生きていくための営業活動まで頭ごなしに攻撃するのは行き過ぎだ。
むしろこういう時こそ、批判的思考が大切だ。おかしいと思えば声を上げ、必要な支援を求める。憲法が言論の自由を保障しているのは、一人ひとりが自分の頭で考え動くことで、民主主義が機能することを想定しているからだ。実際、異論によってコロナ対策は改善された。DV(家庭内暴力)を抱える家庭への現金支給の方法も、風俗店への休業補償もそうだった。
こうした事態に対処するため、憲法を改正して「緊急事態条項」を導入すべきだという意見もあるが、今回の事態には現行憲法の「公共の福祉」の考え方で対処できるはずだ。集会をしたくても経済活動をしたくても、生命を守るという目的との比較で我慢できることはしていこうと。
緊急事態条項ができれば、内閣は国会のチェックを受けずに法律と同じ効力を持つ政令を出せるようになる。緊急時だけの時限措置といっても、いったん成立してしまえば人権が無条件に制限されかねない。そして人は慣れる。政府の暴走を許した歴史を教訓に、現行憲法ができていることを忘れてはならない。(聞き手・阿部峻介)

以下は、上の記事の元になった論説です。
コロナの時代の「言論の自由」――「緊急」の中でこそ「批判の自由」が大切な理由(Yahoo!個人オーサーのページ 4月12日投稿)

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