朝日新聞デジタルにコメント掲載

2021 0706 朝日デジ(公開部分)

「あいちトリエンナーレ2019」で展示が一時中止となった企画展「表現の不自由展・その後」の出展作品を集めた展覧会が、大阪と東京で相次いで困難に直面している。街宣活動による妨害のため東京は延期となり、大阪では会場側が利用承認を取り消した。名古屋では、企画展に否定的な団体が同じ施設内で別の展覧会を予定。抗議活動や行政側の対応に注目が集まり、作品が人の目に触れる機会を奪われる事態に、展覧会の出品作家は胸を痛めている。

志田コメント部分抜粋
批判の自由 同じ土俵が大前提  志田陽子さん

憲法と芸術関連法が専門の志田陽子・武蔵野美術大教授の話 作品を批判する自由は当然あるが、そのときに批判の対象も同じ土俵にいられることが、「表現の自由」の大前提だ。周囲に恐怖を与え表現者を「出展できない」状態に追い込むことは、批判や抗議という言論の限度を超えた「暴力」であり、法的に認められない。芸術や文芸の役割は、その時代の常識を疑い、人間の本質を問いかけることにある。多数派から見ると不快で、常識に反すると感じるものもあるだろう。だが、作品に違和感を持つ人も含めて議論が起きることは、市民社会を活性化し、強めることにつながる。見たくないものを封じることを繰り返せば、社会の弱体化を招き、社会自身にとっての損失になる。批判は作品を見た上でないと成り立たない。批判の自由のためにも、今の流れを止めることが必要だ。

「政争の具」危機感 混迷の「表現の不自由展」に作家は|朝日デジタル(有料会員記事)

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