ロングインタビュー記事が、毎日新聞デジタルに掲載
大学で行っている法学系の授業では、人権の基本的な考え方を学んでもらうと同時に、今の社会のアクチュアルな問題についてどう考えるか、各人に考えてもらう授業を行っています。ときには参加学生の間で見解が分かれることも。そうしたときには、「正解を知っていること」より、基本的人権の考え方に立脚し、しっかり理由を示して「自分の考えを述べあうこと」、それによってあるべき答えを作っていく力を身に着けていくことが大切です。その一助となればと思い、私の研究者としての考え方を、初学者向けの平易な言葉で述べました。
(冒頭公開部分 抜粋)
禁止はしていない
憲法24条1項には、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し……」という文言がある。「両性」という言葉をとらえ、憲法改正をしない限り同性婚の制度化はできないという主張がある。
しかし学界では、憲法制定時には同性カップルは想定はされていなかったけれども、同性婚の制度化を禁止まではしていないとする考え方が大勢だ。
24条の第一の趣旨は、戦前にあった人権侵害的な家父長制によって女性や子どもが家のための道具とされるようなことはやめるということだ。
家制度によって個人としての生き方が阻まれていることをなくす趣旨だと考えれば、24条が同性婚を阻むために作られたとは到底言えない。
実現しない合理的理由はあるか
同性婚を認めていない民法と戸籍法の規定は違憲とした札幌地裁判決(2021年3月)は、憲法14条(法の下の平等)に違反しているとした。
保障されるべき人権がなんであれ、アイデンティティーを理由に対象から外されている人がいる場合には、排除に合理的な理由があるかを問い詰めなければならない。…
2023-04-17 by
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