朝日新聞社「ジャーナリスト」10月号(10月10日発行)に、論説掲載

 

「文化芸術支援の自由と中立―–公は《芸術の空間》を守るのが仕事」

朝日ジャーナリズム10月号写真_20191010 志田陽子

 

 「あいちトリエンナーレ」の一部として企画された「表現の不自由展・その後」が、公開後三日間で中止された。公開されている各種説明によると、中止の理由は脅迫を含む抗議が殺到したための安全上の配慮だという。その一方で、名古屋市長、大阪市長、大阪府知事、神奈川県知事など多くの公人から一部作品の表現内容が政治的であることを理由とした中止要望・中止支持の発言が相次いだ。

このような文化的な事柄がこれほどに政治化してしまったのは、なぜなのだろうか。本稿では、(A)当事者にとって何が問題か、(B)問題が置かれた文脈、(C)法によって何が言えるのか、という観点から、この件を考察してみたい。…

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