「歌いつがれた平和への希求」 新日本婦人の会入間支部講演

2022 0528 講演上映動画スクショ(1)

当日の配布レジュメより

日本国憲法には、「念願」「理想」(前文)、「希求」(9条)、という言葉があります。まだ達成はできていないが、その方向を目指すということを示しています。

長い歴史の中で、今のような「憲法」の形が出来上がったのは、比較的最近のことです。しかしその内容は、もっと長い歴史的時間の中で、徐々に形になってきました。その意味で憲法はいつも「夜明け前」にあると思います。私たちは、憲法の思考の足場にある「負の歴史」——痛みや悲しみ――と向き合う力が必要となります。

当日は、以下の憲法解説付き音楽動画(志田のスタジオライブ歌唱を収録した自主作成動画)を上映しながら、上の視点でお話をしました。

2022 0528 講演上映動画スクショ(2)

  • アメイジング・グレイス…18世紀末から、奴隷制廃止運動のシンボル・ソングとして歌われてきた歌です。良心の痛みをパワーへと昇華させた歌です。
  • 私を泣かせてください (ヘンデル:作詞作曲、志田陽子:訳詞)…18世紀初頭、ヘンデルのオペラ「リナルド」の中の1曲です。平和への願いと、精神の自由の、「はじめの一歩」。
  • ダニー・ボーイ…この歌はもともと民謡だったものに、イングランドの弁護士が歌詞をつけたと言われています。別れていった最愛の者に、私の死後でいいから、いつか私に会いに来てほしいと呼びかける歌です。親子の歌とも恋人に別れを告げる歌とも受け取れますが、アメリカでは戦死して帰らなくなった子を悼む歌として受け止められるようになりました。
  • My Old Kentucky Home…現在、ケンタッキー州の州歌として知られている歌です。1852年に スティーブン・フォスターによって作詞・作曲されました。アメリカ・南北戦争のひとつの決着、そして差別表現が議論になった歌として、ご紹介しました。
  • 朝日のあたる家…夫がギャンブルと酒に明け暮れ、生活もままならない。そんな毎日に耐え切れずに家を出た女が転々と放浪した末に流れ着いた場所は、この売春宿だった。もとは陽気な調子の歌だったことがわかっていますが、笑い飛ばす調子の下に埋め込まれた苦しみを、想像すべきでしょう。このような現実が世界中にあったため、国際条約としては「国連女性差別撤廃条約」、国内法としては「家庭内暴力(DV)防止法」があります。日本国憲法24条も、女性がこのような従属的状態に置かれることのないように、「男女の本質的平等」と「個人の尊厳」を基本原理として定めています。
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