月刊保団連8月号に論説掲載

2021 0725 月刊保団連 志田論説掲載(p4-10)

「芸術・学術における自由保障の意味 ――《知》は誰のものか」

医療関係者向けの専門誌「月刊保団連」2021年8月号の特集「『「表現の自由」が危ない』の巻頭論説として、拙稿を掲載していただきました(No.1351、p.4-10)。今、何が起きているか、憲法と民主主義から見て何が問題か、またこの問題が医療関係者を含む理系の専門家にとってどう関係してくるのかについて、書かせていただきました。

多様な価値観を認め合うことによって成り立つ現代社会においては、誰かが誰かの価値観や感情を傷つけ不快感を与える可能性をゼロにすることはできない。その中で、文化芸術や学術や市民活動に、「誰かを不快にさせてはいけない」「すべての人の賛意を得られないものは不可」というフィルターがかかっていくとしたら、民主的な市民文化は立ち行かなくなってしまう。

本稿では、以下、芸術・学術にまたがる探求活動や成果共有の全体を指して《知》という言葉でくくることにするが、今、文化芸術や、医療も含めた学術分野の担い手が、困難なダブルバインド状況に置かれている。《知》を政策のために提供したり、市民に公開し還元するようにという要請と、議論や悶着を招かないようにという要請とのダブルバインドである。この状況を読み解くことで、状況改善の一助になればと思う。・・・

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