「少数者の人権」と「多数派の不安」 朝日新聞にコメント掲載

2021 0727 朝日新聞 憲法を考える 紙版(本文ボカシ)

朝日新聞 紙版 2021年7月27日掲載  (著作権に配慮して本文にボカシを入れています)

トランスジェンダーの人が、学校や職場で、自認する性別のトイレを使えないことが論争になっている。米国では先月、トイレの使用を禁じた教育委員会の決定を「違法」とする判決が確定した。日本では「違法」とした一審判決を二審が「合法」と逆転し、最高裁の判決が待たれている。…

(志田コメント部分抜粋)

志田陽子・武蔵野美術大教授(憲法)は、「多数決によっても決して奪ってはならない価値が人権だ。司法が人権を守る役割を果たせるか、最高裁の判断はその試金石になるだろう」と語る。

(このサイトでのコメント補足)

記事タイトルや記事中の弁護士の談話と同じく、どちらもそれぞれに勘案すべき利益ではあります。どちらかが認められたら、どちらかが否定される、ということではないのです。こうしたときには、両方の利益をてんびんにかけて考える「利益衡量」や「比較衡量」の考え方がとられます。この件では、多数者の漠然とした不安感と、少数者の明確な人権が対抗関係に立っている。どちらがより優先度の高い事柄か、と考えたとき、少数者の「人権」が優先されます。安心して使えるトイレがない、というのはプライバシーに直結する具体的なストレスで、健康被害にもつながりかねません。その意味での「人権」を裁判所が正しく理解して判断する必要がある、ということを述べました。

(憲法を考える)「少数者の人権」と「多数派の不安」|朝日新聞デジタル

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