「表現の自由のワインディングロード 「自由」をめぐる、ねじれと理路」 『現代思想』3月号に論文掲載

2022 0226 現代思想2022年3月号表紙

「表現の自由のワインディングロード 「自由」をめぐる、ねじれと理路」と題した論文を、現代思想3月号に掲載していただきました(65-79頁)。

(志田執筆稿より、一部抜粋)

筆者は、「表現の自由」は、論争の両者を土俵にとどまらせる《粘りの思考》によって成り立っているもので、勝者が敗者を叩き出す椅子取りゲーム(ゼロサム・ゲーム)の思考とは異なる、と考えている。「表現の自由」といったとき、こうした基礎的な理解が、社会で十分に共有されているだろうか。…(中略)…表現の「自由」を擁護する立場は、被害者や弱者の悩みを軽視して放置し、いじめを行う者の「自由」ばかりを擁護する立場であるかのような印象も生まれているように見える。筆者は、これは民主的社会にとって危険な傾向ではないかと思っている。…(中略)…歯の治療のために顎の骨を取り去って、噛む力を失ってしまったり、指の治療のために腕そのものを取り去ってペンを持つ力を失ってしまったりすれば、私たちはより深刻な不自由に対して、より無防備な状態に陥ることになる。…

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