2022年 4月 9日 (土曜日) 16:00~18:00 「表現者の自由とパワーと責任を立て直そう」 うたごえ全国協議会主催の総会記念講演会

2022 0409 うたごえ新聞 志田講演記事

うたごえ全国協議会主催の総会記念講演会の講師として、「表現者の自由とパワーと責任を立て直そう」と題して講演を行いました。
その様子を、5月9日の「うたごえ新聞」にも掲載していただきました。

当日の配布レジュメより

日本国憲法には、「念願」「理想」(前文)、「希求」(9条)、という言葉があります。まだ達成はできていないが、その方向を目指すということを示しています。そして締めくくりの「最高法規」の章には、97条があります。

「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」

憲法が見ている世界は、人類史レベルの過去と、地球レベルの現在と、そして将来の世界との長い時間の中にある世界であることがわかります。

長い歴史の中で、今のような「憲法」の形が出来上がったのは、比較的最近のことです。しかしその内容は、もっと長い歴史的時間の中で、徐々に形になってきました。

憲法が保障する人権や民主主義は、まだ完全に達成されてはおらず、その意味ではいつも「夜明け前」にあると思います。今、コロナ禍とロシア・ウクライナ戦禍に揺れている国際社会は、あらためて、「表現の自由」の価値を問い直し、立て直す、「夜明け前」にあるように思います。

今回は、そんなことを考えさせてくれる歌をご紹介しながら、お話をしようと思います。

 

当日は、以下の憲法解説付き音楽動画(志田のスタジオライブ歌唱を収録した自主作成動画)も、上映しました。

  • アメイジング・グレイス…18世紀末から、奴隷制廃止運動のシンボル・ソングとして歌われてきた歌です。良心の痛みをパワーへと昇華させた歌です。
  • 私を泣かせてください (ヘンデル:作詞作曲、志田陽子:訳詞)…18世紀初頭、ヘンデルのオペラ「リナルド」の中の1曲です。平和への願いと、精神の自由の、「はじめの一歩」。
  • ダニー・ボーイ…この歌はもともと民謡だったものに、イングランドの弁護士が歌詞をつけたと言われています。別れていった最愛の者に、私の死後でいいから、いつか私に会いに来てほしいと呼びかける歌です。親子の歌とも恋人に別れを告げる歌とも受け取れますが、アメリカでは戦死して帰らなくなった子を悼む歌として受け止められるようになりました。
  • My Old Kentucky Home…現在、ケンタッキー州の州歌として知られている歌です。1852年に スティーブン・フォスターによって作詞・作曲されました。アメリカ・南北戦争のひとつの決着、そして差別表現が議論になった歌として、ご紹介しました。
関連記事